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執筆者の写真原田貴之

芽を摘むな、英語教師

中学校では最初の中間テストが終わり、続々と結果が返却されてきた。私はこの1週間はいつになく気持ちが穏やかでない、というか憤っている。

いつもはできるだけ丁寧に文章を書こうとしてるが、今日はそうはいかない。

まず最初に声を大にして言いいたい、

『文法完璧主義、減点主義の英語のテストなんていい加減にやめませんか?』

英語を始めたばかりの中学1年生を相手に、

"a/an がないから全部バツ"

"複数形のsがついてないから全部バツ"

"一般動詞の否定文を問うている問題でも目的語のスペルがちょっとちがうから全部バツ"

"be動詞の文から一般動詞の文に書き換えさせる問題で、前置詞ちがうから全部バツ”

…ちょっとちょっと、なんでいまだにこんなことに拘っているんだ?

そんなことで、胸膨らませて英語を学び始めた学習者に自信を失わせて、一体何がしたい?

今回の学習指導要領改訂、教科書の刷新のメッセージが何なのかわかっているのか?

文法がわかってないとちゃんとした英語は使えない? そんなの嘘八百

逆に、文法的に正しいかどうかばかり気にしているからいつまでたっても簡単な一歩が踏み出せないんでしょ?

今年度、中学校では学習指導要領が新しくなり、教科書も一新された

今回の改定のポイントは、「実際のコミュニケーション場面を想定した英語」「実際に使うための英語」

2015年からスタートした英語教育改革、私は偶然にも英語教育推進リーダーとしてその改革の歩みを最前線で見てきた、そして推し進めてきた。受験英語はあんなに得意だったのに、海外で自分の英語がまったく通用しない経験をしてきた私は、この改革は絶対に必要だと思ってきた。

10年に一回改訂される学習指導要領、それでも変わらない文法訳読式、文法完璧主義、減点主義の英語教育…でも今回は本気度が違った

「授業でコミュニケーション重視にしたって、結局大学入試では文法が必要だから」という現場の言い訳を封印するために、

「じゃあ大学入試が変わりますから、中学・高校の現場も変わってくださいね」

というメッセージだった。

共通テスト英語の代わりに、4技能外部試験導入。あの英検が、4技能を同時に測ってないからという理由で一旦は入試活用からは除外。それに対応するために急遽、一次と2次を1日で同時に行うS-CBTを設定したほど、今回の英語教育改革は本気だ

文科省大臣の発言で一転したと思われている外部試験案の保留、

「やっぱり、従来の英語が必要なんだ」

というのは見方が浅はかすぎる

全国の大学ではすでに多くの大学が外部検定を入試で利用している

立教大学は今年度入試の個別試験で英語を撤廃。外部検定または共通テストのスコアでの判定となり、志願者を大幅に増やした

地元の南山大学でも数年前から英検準1級合格スコアでセンター試験は満点扱い

国公立大学でも外部試験の資格を大いに重視していて

私が前任校で進路指導していた時の経験で言うと、

英検準1級を取得していた生徒は軒並み推薦合格を手にしていた

私は求められる英語力の変化を目の前で見てきた。

でも、それはすでに2−3年前の話だ

いまの中学1年生が大学入試を迎える時にはその傾向はますます強まっているはずだ、いや変わっていなければいけない

いろんな意見があるのは重々わかった上で私は言っている

今のままの英語教育ではダメだ

ものすごいスピードで変化していく世界の中で、こんなことで悠長に油を打っている暇なんてない

冠詞、3単現在、複数形…これからの日本の英語教育の目的はそんなちっぽけなことじゃない

そんな些細なことで将来を担う若者たちの英語に対する関心の芽を摘んではいけない

英語を学ぶということは、これからの世界を学ぶということだ

異なる未知なる世界に胸を躍らせる好奇心と世界に飛びだすチャレンジ精神を育成することだ

国境なく人々がコミュニケーションを行う世界で、日本で生まれ育った自分を認識し胸を張れるアイデンティティを育成することだ

国内で進むグローバル化に対応するために、異なる文化や価値観を理解し尊重できるマインドを育成することだ

そのための英語教育だ

これが偽らざる私の英語に対する思いであり、そしてクレイン英学校のビジョンである。

今はまだ小さな英語学校であるが、私が信じる英語力の育成のために、明日からも全力で目の前の生徒たちに向き合っていきたい。


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